クラスメイトのヒカルは、怪談や都市伝説が大好きなオカルトマニア。
実際に「こっくりさん」や「百物語」を実行し、恐ろしい目にあったこともあるんだって。
そのヒカルが、面白い話を教えてくれた。
深夜2時22分、六角形の鏡に向かって「オ カ ガ ミ サ マ イ デ ヨ」と3回唱えると、鏡のなかに悪魔があらわれる。
悪魔は呪いの言葉をかけてこようとするんだけど、その前に急いで願いごとをいえば必ず叶うそうだ。
でも悪魔に先を越されると呪われてしまう…。
ヒカルは恐ろしい顔をつくって、そんな話をした。
家にちょうど六角形の鏡があったから、私は冗談半分でヒカルの話を試してみた。
でも、悪魔なんか全然出てこない。
次の日、眠い目をこすりながらヒカルに文句をいうと、「ふざけた態度でやったんじゃない? もっと真剣にやらなきゃ」といい返された。
私はムキになって、「そんなにいうなら、今夜マジでやってみる!」と宣言した。
深夜2時22分、私は六角形の鏡の前に立った。
背筋を伸ばして、キリリと真面目な顔をつくり、呪文を3回唱えた。
やっぱりだめだ…。
六角形の鏡には、昨日と同じ、ヘラヘラ笑っている私の顔が映っているだけ。
「あーあ」とため息をつき、鏡に背を向けた瞬間、後ろから「おい…」と声をかけられた。