結木礼のちょっと怖い話

結木礼(ゆうき・れい)ライター・編集者。怖い話を中心に、ゆかいな話、おもしろい話など、ゆるゆると書いていきます。お問い合わせは下記URLからお願いします。 https://www.yuki-rei.com/otoiawase

トイレのいたずら

昼間から発泡酒をひっかけ、近所の家電量販店へ。
エアコンの効いた店内で、マッサージチェアに座って一眠りするのが、オレにとって最高の休日だった。

だが1ヵ月ほど前、いつものようにマッサージチェアでグースカ寝ていたオレは、店のスタッフにゆすり起こされた。
そいつは「ほかのお客様のご迷惑になります」と、すました顔で言い放った。
生意気にも、胸に「店長」なんて名札をつけてやがる。

ふん、ほかに客なんて一人もいないクセに。
オレはそいつを軽くにらみつけ、ひとまずその場を立ち去った。

次の日から、俺はマッサージチェアではなく、その店のトイレに直行するようになった。
トイレに特大の爆弾を落としてやり、水を流さずに立ち去る。
これが、オレの考えた復讐だった。

何度も続けていると、ある日、トイレに「いたずらはやめてください」という注意書きが貼られるようになった。
ふん、オレはいたずらなんてしていない。
いつも「水を流し忘れている」だけだ。

かまわずに爆弾を落とし続けていると、何日か後にトイレの注意書きが「見ているぞ!」というポスターに変わった。
店長らしき人物が、人差し指をこちらに向けて叫んでいるイラストが描かれている。
ふふ…、あの店長がわざわざこれを描いたかと思うと、笑えてくる。

せっかくだから、もっと面白くしてやろう。
オレはポスターをとめている画びょうをいくつか外した。
この画びょうをイラストの目に突き刺せば、「目を光らせている」というポスターのテーマにぴったりだ。

画びょうを刺そうとして、俺は気づいた。
イラストの黒目の部分が、くり抜かれていることに。

その奥から、本物の目玉がぎょろりと覗いていた。