高校受験を間近に控え、私は連日、ふらふらになるまで勉強をしていた。
この苦しみがわかるのは、同じ難関校を受験するヒナちゃんだけだ。
ヒナちゃんは親友だけど、ライバルでもある。
成績も似たり寄ったりで、どちらも合格するかどうか、五分五分といったところ。
私はできれば、ヒナちゃんと一緒に入学式に出席したい。
ヒナちゃんも、同じ気持ちなら嬉しいな。
ヒナちゃんのがんばりは、顔色を見ればわかる。
いつも青白い顔で、睡眠不足なのだろう。
きっと私も、同じような顔をしているはずだ。
私たちは学校で顔を合わせるたびに、「勉強している?」「もう大変で、死にそうだよ」なんて会話を交わしている。
試験を翌日に控えた朝も、「こんなことをしていると、マジで死ぬよ。もう無理〜」 「ははは……、私も〜」と力なく笑い合った。
でも、徹夜の日々も今日で最後だ。
ヒナちゃんは私に、「夜、つらくなったら飲んでね」と栄養ドリンクを差し入れてくれた。
私もお返しに、「夜、寒くなったら使ってね」と使い捨てカイロをあげた。
その夜、スマホが「ピロン♪」と鳴った。
ヒナちゃんからのメッセージだ。
「おーい、生きている?」 なんて書いてある。
時計を見ると、午前2時。
ヒナちゃんもがんばるなぁ。
私は「うん、まだまだ生きているよ!」と返信した。
またスマホが、「ピロン♪」と鳴った。
「あれ? 栄養ドリンクをまだ飲んでいないの?」とヒナちゃん。
栄養ドリンクは飲まずに捨てた。